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リフォーム Reform
箱清水の茶室
2014年11月に発生した長野県神代断層地震では善光寺さんの石灯籠が数多く倒壊しました。震度5強の揺れに箱清水にあるこちらの茶室も根石から柱が大きく外れ、土壁は剥がれ落ち、地盤さえも部分沈下する大きな被害を受けました。改修にあたり、まずは瓦を載せたまま柱建ての状態まで解体をしました。その後、床の陸(水平)や柱の建ち(垂直)を正すため、沈下した箇所にジャッキを架け、壁や小屋裏にターンバックルを張ることでヨロビを直します。浮いた既存柱に根石を合わせたのち、基礎コンクリートを新規に打設し部分沈下を改修しました。軸組の耐震化には外装内装モルタル下地(ラスカット)を用い、小屋裏での水平構面も積極的に確保するなどの工夫を凝らしました。
今回の改修工事を機に照明器具や水屋や雪隠等の設備は新しくしましたが、その他の建築部材は傷んだところに手を掛けることで、なるべく創建当初の部材を残すことに心掛けています。例えば、狆潜り(ちんくぐり)の壁止めに使われていた晒竹には細かな虫孔が開いており、そこに地震の負荷が掛かった形で裂けてしまっていましたが、床柱から外し見え隠れになる部分から杉材をあんことして補強し未来に残すことができました。大工の技術だけでは決して納まらない各職の技能の高さが光ります。
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