丹波島の家

北国街道の宿場町にある旧家を改修させてもらいました。街道からの眺めは漆喰壁と瓦屋根の荘厳な佇まいで、犀川を使って運んだと言われる下屋の桁は10間先になるとのことです。
室内に目を向けても表玄関や廊下に畳が敷かれ奥座敷へと続く、とても厳格な趣のある空間です。小黒柱は石場建てになっており、その石のサイズは地表に見えている部分だけでも半畳ほどありました。このような歴史深い建物に携われることはとても興味深く、感謝の気持ちです。
一方で、昭和になってから改修されたキッチンや浴室、トイレといった水廻り空間の老朽化が進み、不便を強いられていたそうです。そういった内玄関からなる生活ゾーンの改修は空間面積や動線の配慮に始まり、既存構造材や既設配管との兼ね合いもあって平面計画に時間を費やました。
必要以上に柱を抜かない平面計画と、現在の間取りを簡素化した平面にすることで構造的に効率よく荷重を流し、コストを抑えることが出来ました。奥さまの選んだ明るい色のシステムキッチンが、工事完成の悦びを物語るようで私自身もとても嬉しく、印象深い仕事になりました。

 

DATA