実績紹介
新築 New Construction
箱清水公民館本館
私たちが住んでいる地域の公民館をつくらせていただきました。公民館が建設された地籍は地元で深田町と呼ばれ、その昔は小字名が表すように沼地が広がっていました。その沼の水を抜くために切り開いた沢が城山動物園の脇にある堀切沢であると聞いています。その土地の歴史を知ることはとても大切だと考えます。公民館の建設にあたっては耐震のための地盤改良を行い、地下水位を下げるために暗渠排水設備を設けました。(2014年11月22日に発生した長野県神代断層地震では震度5強の揺れを受けましたが、当公民館は幸いなことに被害がありませんでした。)
技術の伝承を重んじる私たちは、墨付けや刻みにプレカットを用いません。材木の一本一本を自分の手に感じながら建物の骨組みを刻み上げます。今回は、合計17本の丸太梁を使用しました。建物の中央に向って架かるたくさんの梁々は、まるで生き物の肋骨のようで躍動感すら覚えます。
上棟式では厳かに神事が行われ、大勢の区民の皆さんにも集まっていただき盛大に餅まきもできました。
箱清水公民館の完成までの日記があります。ご興味のある方はご覧ください。
箱清水公民館の完成までの日記
DATA
お客さまの声
箱清水区長 林 進 さん
区長職6年目の最後の年に訪れた公民館新築という大事業、この好機を失しては二度と巡りこないことを決意。しかしながら、現公民館敷地では、面積狭隘、そこで浮かびあがったのが、NTT職員宿舎跡地である。
町のほぼ中央、面積は広過ぎるぐらい、しかし果たして譲渡に応じてくれるだろうか、あたって砕けろと、意を決し陳情作戦を開始した。市内のNTT機関の長を経由、本社宛陳情文書を提出した。やがて、待望の朗報が届き、一歩の前進をみたわけである。
つぎは、施行業者の選定、役員一同鳩首凝議。なかなか結論はでず。灯台下暗しとは、よくいったもので、地元に立派な棟梁がおりました。名前は堀誠さん、早速お会いしたところ、この方はお名前とおりの誠実一路の方でした。しかも、親子二代にわたる日本古来の伝統工法をかたくなに守られて和風建築を手がけてこられたとのこと、二代目棟梁、幸一さん、なかなか経歴もよく、特に一級建築士のほか、内弟子として、大工修行を積んでこられた努力家、申し分ありませんでした。
いよいよ建築工事開始、当初は地盤の軟弱に悩まされながらも順調に推移。私も家を増築一回、新築二回を経験してきております。
今はプレカットが当たり前の時代、こんな木組み工法を拝見したのは驚きでした。
見学にきていた住民の皆さんも一様に感心しておりましたね。見えないところほど丁寧な仕事をする精神。頭の下がる思いでした。
また、一門の職方の皆さんも堀棟梁を支え工事の進捗に協力いただき、感謝申し上げたいと思います。
私たちの時代に、この公民館を建設したことを、後世の住民の皆さんは、きっと感謝してくださるものと思っております。公民館建設にご協力くださった、長野市関係部署の皆様、そして建築工房アカシヤさんのますますのご繁栄を祈念申し上げます。