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長市内を流れる千曲川堤防沿いの南、晴れた日には北アルプスの雄姿が望める閑静な住宅地に建つSさんのお宅。 
外観は淡い色の外壁と瓦の大屋根が創るモノトーンのシルエットが落ち着いた「和」の佇まいをみせている。
 
玄関を入ると土間の部分には、素材に瓦を使いそれを斜めに敷き詰める「四半敷き瓦(しはんじきがわら)」の様式が用いられ、またホール床部分には畳敷きになる等、上質な「和」の雰囲気が来訪者を迎える玄関となっている。

まるで料亭や割烹を想わせるような、充分な広さを持つこの玄関に話が及ぶと「以前住んでいた家の玄関が狭かった為、広い玄関に憧れていたので‥」とお施主さんからのたっての希望だったとの事。

そもそもこの家を新築されたのは、共に八十歳をこえるご高齢のご両親と過ごす事を一番に考えての事からだった為、このS邸にはそうした事を充分に考えた細かな心配りや丁寧な仕事ぶりが随所に見る事ができる。
 
同じ玄関脇には直接ご両親の寝室や居間へと続く「土縁(どえん)」のスペースが設けられ、ご両親が寝室や居間からすぐに庭への出入りができる様にしているのも、日常のご両親の行動の利便さを考えての事。

玄関と居間の間にご両親の寝室を置くレイアウトや、その寝室に予め排水用の口を設置しておく事も、また入口を広く取ったバリアフリーの洗面及びトイレもスペースを広く設け、いずれ考えられる車椅子の使用にも充分に対応している事等々、高齢化社会に対する家の在りかたの実例が此処に見てとれる。

なお新築後一年余の現在、上記の「土縁」のスペースには新たにスロープが設けられ、玄関と居間を車椅子で往来できる様になっている。

(取材協力:スタジオ・スペース ツー)